Wed 10/23, 2002

覘き小平次 [Books ]

御存知、京極夏彦の最新刊。著者の「巷説百物語」シリーズの登場人物も現れるが、そちらよりも「嗤う伊右衛門」のような味わいがある時代ミステリ。ミステリというと著者は嫌がるかもしれない。もとよりそんなジャンル分けは無意味だ。妖怪が出てくる訳でもない。出てくるは幽的だ。いや、本物の幽的ではなく、「のような」モノだ。何時だって一番怖いのは死んでしまった者ではなく、生きている人間のほうなのだ。最初、怖さの形は曖昧である。別にエイリアンのように小出しにして恐怖を煽るというスタイルなのではない。それは朝靄の向こうなのか夢現(うつつ)なのかという捉えどころのない姿のままだ。それでいて章を追うにつれ揺さぶられるように怖さを感じさせるのは流石の筆致。落ちのような最後の章は不要だ、と言う意見があるかも知れない。とは言ってもあれが無ければ喉のつかえが取れないような、あるいは物足りないようなことになってしまう。だから、あれは潔い在り方なのだ。落ち(なのか?)を省いて後は読者任せというスタイルが昨今多いような気もするが、そんなものは未完成品に過ぎない。

Posted by masato at 12:25 AM
コメント

本は新刊で買うと場所をとります。
鳥の絵が変わったのに気が付きました。何羽いるのでしょう?集めようかな?

Posted by: bandc at 10/23, 2002 12:43 PM

場所塞ぎになることはもう諦めてます。たまに実家に持っていったり古本屋などに処分したりもあるんですが、御覧の様で御座います。
野鳥アイコンはあすぴー工房(http://starling.dyndns.org/~asupi/)から仕入れたものです。

Posted by: 管理人 at 10/23, 2002 04:15 PM
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