Wed 05/14, 2003

安心社会から信頼社会へ [Books ]

「安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方」 山岸俊男著 中公新書

タイトルにしてしまったものの実はこの本をまだ読んでいない。「読売ADリポート」や「network styly <本物>のblogブームってなんじゃらほい。(山岸俊男「安心社会から信頼社会へ」)」で要旨を齧り、その上で書店に在庫があった次の「社会的ジレンマ」のほうを読んでみた。

「社会的ジレンマ - 『環境破壊』から『いじめ』まで」 山岸俊男著 PHP新書

山岸氏は「社会的知性」の必要性を説き、旧来の閉鎖的とも言える日本的な集団的安心社会から、オープンな信頼社会への移行を目指すべきだと結論付けている。是非そうあって欲しいものだが実際にはどうだろう。私が危惧するのは国際社会においても「ずるい」行動によって一人勝ちしているような国家があり、少数の勝ち組以外は全て負けというような傾向が進んでいるように感じられることだ。本当は全体の利益につながる筈のものがそうした連中によって独占されていないだろうか。身近な社会においても例えば企業の雇用者、被雇用者の対等とは言えないような関係の中で「かしこい」戦略をとるのは難しい。資本と利益が一極集中するような資本主義社会においては、ある程度それを抑制するルールが求められる。それ無しには人々がお互いに信頼と協力をし、全体の利益を向上させるような行動を動機付けることは困難だろう。

振り返ってみると私が身を置いているソフトウェア業界においても、フリーソフトと商用ソフトの関係や Windows の寡占もこうした社会的ジレンマであると考えられる。こちらについてはレッシグ博士の「CODE」と「コモンズ」などをネタにまた改めて紹介したい。

Posted by masato at 08:23 PM
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