ハーブ・リッツ写真展 [Art , Camera and Photograph ]

私の好きな写真家の一人であるハーブ・リッツが昨年亡くなったことを間抜けな事に暫く知らなかった。没後初の回顧展が大丸札幌店で開かれている。映画俳優やモデルなどの気取らない姿を写した作品が有名だが、彼自身は「モデルの名前に関係のない写真が好きだ」と言っている。その割には有名人ばかりモデルにしているが、彼を有名にしたのは友人で当時無名のリチャード・ギアを撮ったものだった。

以前に見たのは確か "Notorious" の発刊時だったと思う。およそ 10 年前か。私はその時の展覧会のほうが印象深い。今回のプリントについては何か今ひとつ物足りないような気もした。さすがに RC ペーパーということは無いのだろうが、バライタってこんな感じだったろうか。判らない。マドンナが咥えタバコで顔をしかめている有名な作品はなんだか黒の締まりがないように見える。他の作品はそうでもないから、或いは意図したものなのかも知れない。プリントの質は今年見たマン・レイ展のもののほうがビンテージ、モダンプリントとも良かったように思うが、多分に私の気分の問題なのだ。