Sat 11/23, 2002

ひらがな日本美術史 [Art , Books ]

歴史の浅い北海道、と言うとアイヌの方々(アイヌというのは人という意味なのでこれも変な言い回しだ)に申し訳ないが、その地に生まれ育ったせいなのか、日本の歴史的建造物や美術にはとても関心を抱いている。念のために付け加えておくと、アイヌ文化の遺産が少ないのは和人の侵略による理由はもちろんだが、彼らの自然と融合したようなライフスタイルが、そういったものを有形のものとして残すことにあまり執着していなかったのではないか、と私は考えている。これも素人考えに過ぎないが、文字を持たなかったというのも、あるいはその辺りから来ているのではないだろうか。

それはさておき、橋本治氏の新刊は芸術新潮の連載をまとめた「ひらがな日本美術史4」である。いつもながらの橋本調で例えば「俵屋宗達は日本最高の画家であると思う」と結論付けておいてから実に丁寧に、繰り返し解説してくれるのである。展覧会などでの解説を見ても彼のように本質を突いた説明をしてくれるものは他にない。アートは理屈よりも感性だという信条ではあるが、そういうことを抜きにしてしまう説得力がある。お蔭様で私のような凡俗でもそれらの真髄に迫ることができる。できるような気がするのだ。

Posted by masato at 10:56 PM
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